スクワットは膝ではなく股関節の運動ととらえよう

Kさんは70代半ばの女性。「スクワットすると膝が痛い」とおっしゃいます。

毎朝、NHKのテレビ体操を見ながら体操しておられるのですが、途中で入るスクワットで膝に痛みが出るそうです。

森光子さんや黒柳徹子さんの影響もあって、ご高齢の方でもスクワットを実践している人は多いですね。スクワットは、脚力はもちろんのこと、体幹のトレーニングにもなり、とても良い運動です。しかしKさんのように膝に痛みが出るとしたら問題です。

「膝に痛みが出ないスクワット」をマスターしましょう。

スクワットの大原則

まず、スクワットをするうえで大事なことを確認します。

「膝がつま先より前に出ない」

これです。スクワットの解説ではかならず書いてあるというくらい重要なポイントです。

実際Kさんにスクワットをやってみてもらうと、膝がつま先より前に出ていました(写真1、2)。これだと膝にかかる負担が大きくなり、痛みが出ても不思議ではありません。

(写真1)膝がつま先より前に出ると痛みが出やすい
(写真2)脛骨(すねの骨)が前傾し、お尻は下に下がる。

膝が前に出るスクワットは上級者向けです。ご高齢の方や運動初心者、若年者は「膝がつま先より前に出ない」を守りましょう。

間違ったやり方でオスグッドに

余談ですが、私は中学生のとき、馬鹿みたいにスクワットをした時期がありました。「1・2・3」のリズムに合わせて、「片足出す・片足出す・しゃがみ込む」のやり方で音楽に合わせてひたすらやっていたのです。(写真3)

(写真3)良くないやり方。真似しないで。

その結果、左膝がそれは見事なオスグッドになってしまいました。オスグッドとは「オスグッドシュラッター病」のことで、大腿部の筋肉の付着部に負荷かかり過ぎた結果、膝下の軟骨が引っ張られ前に飛び出る症状です。成長期のスポーツ競技者に多く見られます。固い物にぶつかると泣きたくなるほど痛いので(学校の椅子がちょうどその高さ!)、高校2年までサポーターをつけていました。

軟骨は身体の成長がとまると硬まって痛みは消えますが、飛び出た形はそのまま残ります。おかげでいまも私は左膝が右に比べるとやや曲がりにくいです。(写真4)

(写真4)ズボンの上からもはっきりわかるオスグッドの痕跡

股関節から動かすスクワット

さて、おすすめしたいスクワットは、「股関節から大きく動かすスクワット」です。(写真5、6)

やり方は、

  1. 足を肩幅に開き、
  2. 脛骨は床に対してできるだけまっすぐ立てたまま動かさず、
  3. お尻を後ろに引くと同時に上体を前傾させます。
  4. 2秒かけて曲げ、2秒かけて戻す」くらいゆっくりと10~20回。
  5. このとき背すじをまっすぐ伸ばしておきましょう。
(写真5)深く曲げようとしなくていい
(写真6)お尻を引き、上体を倒す。

ももが床と水平になるその半分くらいの角度まで曲げれば十分です。(できる人はもう少し深く曲げてもOK)

このやり方で、臀筋や背筋といったまっすぐ立つための筋肉が鍛えられます。

スクワットは「膝関節の運動」のつもりで行うと、膝がつま先より前に出やすく、膝の痛みにつながります。

そうではなく、「股関節の運動」ととらえて行ってみてください。膝周りの負荷は減りますが、臀部や背部にはしっかりと効きます。

膝周りに負荷をかけて膝痛を生じるよりは、臀筋や背筋を鍛えて良い姿勢を維持するほうがはるかに賢明です。

参考になれば幸いです。