こんにちは、院長もりたです。
きょうは、「手」について、解説してみますね。
目次
あなたの「手」の長さはどれくらい?
みなさんは、自分の「手の大きさ」を測ったことがあるだろうか?
「手の大きさ」といっても、
- 縦の長さ(手長)
- 横の長さ(手幅)
- 周径(手囲)
といろいろあるが、今回はもっともわかりやすい「手長」を取りあげよう。
なぜこんなことに関心を持つかといえば、昨年からギターを30年ぶりに再開したことと関係する。
ギターを弾く人で「手が小さい」と悩む人は、思いのほか多い。
かく言う私もその一人で、男性としてはかなり小さいほうだと思う。
私が一番悩むのが、1弦を左手の親指で握り込むように押さえる「グリップ型」での押弦が難しいことだ。
再開して1年近く経つが、ずっと苦労している。
さらに私の手は、小さいうえに、グローブみたいにぶ厚い。
手技療法家としては気に入っているものの、ギターを弾く上ではどうかいな、といった感じだ。
ともあれ、そんな小さい手の私でも、「手」を解剖学的に見直してみることがギターを弾くうえでも有益であるような気がしている。
ただし断っておくが、これを理解したとたんに、届かなかったフレットまで指が届くとか、突然グリップ型がうまく押さえられるというわけではない。
結論からいうと、「手」の構造を理解することで、
- 指先の余計な力みが抜ける
- 演奏が安定する
- 故障の予防になる
といったメリットがあると考えている。
「手長」の測り方
前置きはともかく、さっそく「手長」を測ってみよう。
手のひらに近い「手首のシワから中指の先端まで」の長さだ。
私の場合、「17.0cm」だった。(写真1)
日本人の平均が「18.3cm」ということなので、予想通りかなり小さい(トホホ)。
ちなみに、ますかけの手相は気に入っている。
あなたの「手長」は、どれくらいだろうか?
指はどこから?
手の大きさは、身長とおなじく、嘆いたところではじまらない。
こうなりゃ、せめて“イメージ”だけでも変えていこう。
指が長いとか短いとかいうとき、どこからどこまでを「指」として見るだろうか?
おそらく、ほとんどの人が、(写真2)の赤線の長さで見るだろう。
しかし、それは“パッと見”の話。
「曲がる関節」で見た場合、指は青線のつけ根から曲がる。
指先から3つめのシワ(赤線のつけ根)のところでは、曲がらないのだ。
(そういえば、第一関節、第二関節とはいうのに、第三関節とはいわない)
手の甲側から見てみよう
“パッと見”にだまされるのは、手のひら側から見るからだ。
手の甲側からながめてみよう。(写真3)
こうすると、青線のつけ根で曲がることが理解しやすい。
グーを握ると、ボコッと骨が浮き出る箇所だ。
そして、ここでもう1本、「黄線」を加えておく。
今度は、甲側から見た手に「骨組み」を透かしてみる。
カンのいい人は、ここらで何が言いたいか、気づくかも~。
ヒントは、さっきの「黄線」にありますよ~。
さらに、「骨だけ」にしてみよう。(写真5)
いや~、なんと長い指!(笑)
あなたの手から骨だけ抜いて骨格模型にして出されたら、「長い指でうらやまし~」と言うかもしれない。
あなたの手なのに。
指の骨はCM関節から伸びている
もう一度、上の骨組みを見てもらいたい。
手首付近で、まるでお城の石垣のように、こまごました骨が複雑に組み合わさっている。
これらが「手根骨(しゅこんこつ)」だ。
その先に、各指固有の骨が伸びる。
これが「中手骨(ちゅうしゅこつ)」。
この手根骨と中手骨でつくる関節を、「手根中手関節」、別名「CM関節」という。(写真7)
骨で見ると、指はこの「CM関節」から伸びている。
人差し指と中指の「CM関節」はほとんど可動性がなく、薬指と小指のそれは少し動くといわれる。
それに比べ、親指のCM関節(母指CM関節)の可動性は大きい。
親指は、ほとんど手首に近いあたりの「母指CM関節」から動いているのだ。
ためしに、(写真7)で位置を確認しながら、右手の母指CM関節に左手の親指で触れて、右手親指を動かしてみてほしい。
そこから動くのが、よくわかるだろう。
ギター弾きさんに試してほしい
親指といえば、フィンガーピッカーにはお馴染みの「サムピック」をはめる指だ。
親指(サム)を動かすときに、「母指CM関節」から動かすことを意識することで、より自然な動きに変わると期待できる。
他の指についても、CM関節から伸びる「長~い指」をイメージしてみよう。
私の場合、このイメージを持つと、指先から余計な力みが消える。
いや、ほんと。
いまこれを読んでいる段階で、指先から力みが消えるような気がしませんか?
ぜひ試してみていただきたい。
まとめ
くり返すが、骨で見ると、指は意外に長い。
そして、そのイメージでギターをポロロンと鳴らすと、力みのない、良い音色が聞こえてくる(気がする)。
ついでに言うと、手技療法の施術においても同じことがいえる。
指先ではなく、CM関節からの指を意識することで、力みが消え、手技が安定し、故障が防げる。
そもそも指先が力んだ手技は、受け手にとっては不快なものだ。
「指が短い」「手が小さい」とがっかりしているお仲間のみなさんに、ちょっとした福音となることを願いつつ、今回はこのへんで。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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