「クツは足のサポーターなんですよ」
患者さんにこう言うと、たいてい、「え、そうなんだ!」と驚いた顔をされる。
それくらい、クツに対して「足のサポーター」という認識がないということだろう。
私は、こう続ける。
「腰痛用のサポーターは、背骨や骨盤の構造を考えて作ってあるでしょう。けど、それをゆるく、てきとーに締めたら意味がありませんよね。
クツも同じです。どんなに足の骨格を考えて作られていても、履くひとが、ゆるく、いいかげんに履いたら、せっかくのサポート機能が台無しです」
そこまで言うとみなさん、「ほんとだ、きちんと履かないといけませんね」と納得される。
そう、クツは(ちゃんとしたクツは)足の骨格やアーチをサポートするように作られているのだ。
そのために、クツの開発担当者はいやというほど足について、また身体について研究し、良いクツを作るべく工夫に工夫を重ねているはずだ。
「足って、いくつの骨でできていると思いますか?」
こう聞くと、こんどは「うーん」と首をひねられる。
よほど解剖学を勉強しているひとでなければ、パッと出てこないだろう。
「片足で、26個もあるんですよ」
「へえ~、そんなに!?」
さっそく、骨格模型で確認してみよう。(※26個にはいわゆる種子骨は含んでいません)
上図は、足の骨を3つに分けた見方だ。
- 足根骨(踵寄りの骨・7個)/踵骨、距骨、舟状骨、内側・中間・外側楔状骨、立方骨
- 中足骨(真ん中の骨・5個)/第1~5中足骨
- 趾骨(足趾の骨・14個)/基節骨5個、中節骨4個(母趾のみ無い)、末節骨5個
書きながら、(小趾は小さいのだから、母趾のように中節骨は無くてもよかったのではないか)などと思ったが、これは小趾の重要性を軽んじる浅はかな考えであったと反省した。
「では、足裏のアーチは、いくつあるか知っていますか?」
これは、わかるひとが多いかもしれない。
足裏にはこのように縦アーチが内外1つずつ、横アーチが1つ、合計3つのアーチがある。
これらのアーチは足の骨格が巧みに織りなす妙であり、身体の安定性を高め、効率的な重心移動を実現し、クッションとして地面からの衝撃を緩和してくれる。
クツが足をサポートするという場合、そのもっとも大きな役割はこれら3つのアーチを支えること、と言っても過言ではない。
クツをゆるく履いてしまっている、つまりフィッティングがいいかげんになっていると、アーチが崩れてくる。
縦アーチが崩れれば「偏平足」が助長され、横アーチが崩れれば中足骨が横に広がって「開帳足」となる。ちなみに開帳足は「外反母趾」とセットだ。
あなたは、クツをしっかりフィッティングさせて履いていると、確信をもって言えるだろうか?
「え?ああ、えへへ~」という声が聞こえてきそうだ。
“クツは足のサポーターであり、しっかり締めて履かなければその機能が台無しになる”
このことをキモにめいじてもらえれば幸いだ。
とはいえ、そのためには、
- どのようなクツを選べばよいのか
- どのように履けばよいのか
が重要になってくる。
それらについても、おいおい書いていけたらと思っている。
(オイオイ、いつ書くんだい?)
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