今日は一冊の本を紹介させてください。
『虐待の淵を生き抜いて』(島田妙子著/毎日新聞出版)
島田さんの本は『e love smile いい愛の笑顔を』(1)(2)以来でした。
この『e love~』は、私がこれまでの人生でもっとも涙を流しながら読んだ本です。
そこには実父と継母から虐待を受けながら育った島田さんの半生が、赤裸々に綴られています。絶望の中にもかすかな希望を見出し、二人の兄と支え合っていく姿は、思い出すだけで涙が出ます。
『虐待の淵を生き抜いて』は、これに続く著書。
先月、5歳の女の子が親に向けて「ゆるしてください」と手紙を書いて亡くなるという、ほんとうに悲しい事件がありました。それをきっかけに、島田さんのことを思い出したのです。
本書は、虐待の中で育った子ども時代についてだけでなく、現在講演活動などさまざまな働きをしておられる島田さんならではの考え方やアドバイスにもページが割かれています。
個人的にはアンガーマネジメントに興味を惹かれましたし、「親子断絶防止法」という法案が検討されていることなどは初めて知りました。
また、「虐待の連鎖」という考え方に疑問を投げかけておられることに、はっとさせられました。
過去に虐待された経験をした人が、自分も虐待をする側になってしまうというのはたまたまで、それを「虐待の連鎖」というのならあと付けの言い訳でしかないと思います。(中略)「虐待の連鎖」という言葉が、かえって「虐待」を増やしているのではないかという気すらします。(本書107頁)
<虐待する人は自分も虐待を受けていたのだ>という「一般常識」を無批判に受け入れていた自分に気づかされました。そんな単純な話ではないのですね。
島田さんは、虐待を受ける側だけでなく、虐待をしている側の人も助けようと活動されています。「生まれたときから悪い人なんて一人もいない!」という信念のもとに。
自らを虐待したお父さんや継母との和解が、その土台にあられるのだろうと思います。
虐待とまではいかなくても、子育てで疲れている人たちみんなに勧めたい本です。
元気になりますよ!
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