ポールウォーキングで脳を活性化する

『月刊スポーツメディスン9・10月号(2021)』(ブックハウス・エイチディ)に、ポールウォーキングに関する興味深い記事が載っていたのでご紹介します。

記事は、宮下充正先生(一般社団法人身体運動科学研究ネットワーク代表理事、東京大学名誉教授)による「運動と脳のはたらき」(p.39-41)。

ポールウォーキングについてと、水中ウォーキングについての二段構成になっていますが、今回はポールウォーキングに関する箇所のみとします。

ポイントは、次のとおり。

2本のポールを持って歩くと・・・

  • 脚・足のみでなく、手・腕・肩のより多くの運動野の細胞が活動する
  • 手・肘・肩への地面反力が、たくさんの感覚野の細胞を刺激する
  • そのため大脳動脈血流速度が増大すると想定される

要するに、ふつうにただ歩くよりも、ポールを持って手・腕・肩にも刺激を与えながら歩くことで、脳がより活性化するということです。

これが認知症の予防につながり、ひいては高齢化社会における社会保障の実現にもなるという主張をされています。

脳の「運動野」と「(体性)感覚野」の位置を示しておきます↓

ポールを持って歩くと、「運動野」と「感覚野」の両方をより多く刺激することができるんですね。

さらに、こんなことも書いてあります。

<右手の収縮によって左側の大脳動脈血流速度が19%増すのに対して、右側の血流速度の増加は4%に過ぎない>(p.39)

「収縮」はおそらく手指をグーに握るような動作と思われますが、手を動かすだけで脳の血流が増すのはすごいですね。

指を動かすのが脳に良いとはよく言われることですが、実際に脳の血流が増すわけです。

ところで、当院のお客様に、毎週牛田山(標高260m)に登っておられる80歳の男性がおられます。
縦走コースでもあり、1時間半くらいかかるそうです。
このような山歩きも、ふつうに道路を歩くよりもはるかに脳への刺激が生じると予想されます。

筋骨格系への負荷が大きいのはもちろんのこと、バランスを崩さないように気をつけなければいけませんし、木に触れたり、鳥の声を聞いたりすることで感覚野の刺激も大きくなるでしょう。

赤ちゃんは日々新鮮な刺激を受けながら、脳も身体も発達します。
同じようにご高齢の方も、できるだけ多方面の刺激を受けて脳を活性化することがたいせつです。

手始めとして、ポールウォーキングを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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