変形性股関節症などで股関節に痛みがあるひとは、病院で筋力トレーニングを指導されることが多いようです。
よくあるのは、横向きに寝た状態から脚を横に上げる運動↓。
これは、中殿筋という殿部の筋肉を強化するトレーニングです。
中殿筋は大切ですし、強化することじたいはいいのですが、往々にしてトレーニングとしてはキツすぎるようです。
結果として、
キツいから続かない
↓
続かないから効果を感じない
↓
続けられない自分を責める
という悪循環に陥っているひとが多いです。
「鍛える」のではなく「動かす」という発想
そのようなひとに対してわたしは、
「トレーニングはいったん忘れましょう。“鍛える”のではなく“動かしておく”くらいの感じでやっていきましょう」
と提案します。
ここで重要なのは、“鍛える”と“動かす”を区別していることです。
- 鍛える=負荷をかける
- 動かす=負荷をかけない
という違いです。
痛みがあり、動きが悪い関節は、周辺の筋肉もガチガチに硬くなっています。
ガチガチの筋肉をムチ打つようにして鍛えようとしても、効果が上がらないことが多い。
それよりもまず、動かせる範囲でいいので少しずつ動かしていくのが良いと、わたしは考えています。
負荷なしで、もの足りないくらいがいいです。
なぜ動かすことが大切なのか
しかし、それでも“動かす”ことは大切です。
硬くなった筋肉をほぐすだけでなく、軟骨を保持するためです。
動かすと、関節内に「関節液」が供給されます。
この「関節液」(「滑液」ともいいます)には、おもに二つの重要な役割があって、
- 軟骨の潤滑を良くする(潤滑剤)
- 軟骨に栄養を与える(栄養剤)
のはたらきをします。
(こちらの記事→「変形性股関節症の人にエアロバイクをおすすめする理由」もご覧ください)
つまり、関節が動かないと関節液が枯渇し、軟骨の潤滑が悪くなって栄養も届かなくなり、軟骨の傷みが進みやすくなるということです。
だから、関節を動かしておくことが大事になります。
バランスボールを使ってみよう
前置きが長くなりましたが、股関節に負荷をかけることなく動かすことができるエクササイズをご紹介します。
仰向けに寝転がって、バランスボールに足を乗せて動かすだけです。
動画では45センチのボールを使っていますが、そこまで脚を上げるのもつらいというひとは、もう少し小さめのものを使うとよいでしょう。
では、動画をどうぞ↓
この動きをボール無しで行ったら、キツいです。
ボールに足を乗せているので、股関節に負荷はかからず、ラクに動かせます。
なおかつ、ボールですからいろいろな方向に動かせるのも利点です。
“鍛える”のではなく“動かしておく”という意味がおわかりいただけるでしょうか。
少しでも、悩んでいるひとの助けになれれば嬉しいです。
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