当院では、「靴」に関するアドバイスを積極的に行っています。靴が身体に与える影響は、多くの人が漠然と思っているよりもはるかに大きいと考えているからです。
そこで今回は、私が皆さんの靴の何をチェックしているかをご紹介しましょう。参考にしていただけることが、きっとあるはずですよ!
※表題は、私が10代の頃文字通りボロボロになるまで読んだ『キミは長嶋を見たか』(岩川隆/集英社文庫)をもじっただけで、それ以上の意味はありません。
1.どんな靴か?
当たり前といえば当たり前ですね。靴といってもいろいろあります。
ビジネスシューズ、ウォーキングシューズ、ランニングシューズ、ハイヒール、パンプス、ローファー、スリッポン、スニーカー、サンダル、ブーツなどなど挙げればきりがありません。
で、超大雑把に分けてどう見るかというと (あくまで私の脳内のお話ですよ) 、
「紐靴」か、「それ以外」か、です。
大雑把すぎますか?(笑)
当院は玄関マットのところで靴を脱いで、スリッパに履き替えてもらいます。カルテを書いていただいている時間に、置かれた靴をパッと観察します。(いきなり手に取ってジロジロ見ることはしません。ヘンな人と思われてはいけませんので)
ここで、靴に対するその人の意識をある程度つかめます。
“紐靴で結び目をほどいて脱いでいる人”は、おめでとうございます、「意識高い系」です。私の印象では「10人中0.2人」と滅多におられません。したがって、たまに紐をほどいて脱いでいる方があると、つい大袈裟なくらいお褒めしてしまいます。
2.靴のくたびれ具合
紐をほどいて脱いでいるか、ほどかずに脱いでいるかは重要な観察点ですが、紐靴以外のものも含めて「くたびれ具合はどうか」もサッと見ます。
よれよれっとした靴や、汚れがひどい靴、遠目にも靴底がヘタっている靴を見ると、(あ、これは指導のやり甲斐があるな)と気合いが入ります。
靴のくたびれ度は、姿勢のくたびれ度と比例します。
靴はよれよれなのに、姿勢がピシッとしている人はいません。
逆もまた真なりで、よく手入れされてピシッとした靴の人は、たいてい姿勢も良いものです。
3.靴底のすり減り具合
これはわかりやすい指標ですね。よくあるチェック項目です。しかし、意外にも、靴底をちゃんとチェックしたことが無い人が多いのです。
私が左右の靴底を並べてはじめて、「あらまあ!」と驚いておられます。
大きく分けると、だいたい次のようなパターンがあります。
- 外側が大きくすり減っている
- 足裏の真ん中付近がすり減っている
- 内側がすり減っている
- 踵寄り、もしくはつま先寄りがすり減っている
もっとも多いのは1.の「外側が大きくすり減っている」ですが、
問題なのは、「すり減り具合が左右で大きく違う」ケースです。
たとえば、右のつま先が外に開いて左のつま先が内に入る傾向にある人は、右の靴底は外が減り、左の靴底は親指に近い内側が減ります。
こういう人は股関節の可動性の左右差が大きく、骨盤や上体に捻じれが生じている可能性が高いといえます。そういうことが、靴からある程度推測されるわけです。
4.中敷きのすり減り&汚れ具合
中敷きもいろいろと教えてくれます。よくあるのは、「中敷きの踵の部分にほこりが溜まっている」ケースです。ご自分の靴の中をのぞいてみてください。ほこりが白くたまっていませんか?
これは「靴をゆるゆるに履いている」ことを意味しています。靴のサイズが大き過ぎる、紐をきちんと締めていない、といったことが考えられます。
できれば、左右の中敷きを外してみましょう。「え、外していいんですか?」と驚く人がいますが、いいんです!(笑)。
ここでもすり減り具合を見るだけでなく、左右差を見ることがポイントです。
靴底もそうなのですが、どちらか片方だけが大きくヘタっているとすれば、身体の使い方がアンバランスになっていたり、もしかすると「脚長差(左右の脚の長さの違い)」が生じていることも考えられます。
靴と身体の関係について理解が深い靴屋さんや施術家・トレーナーなどに相談してみましょう。
まとめ
いかがでしたか。靴をちょっと観察するだけで、身体のいろいろな情報が分かることをご理解いただけたと思います。
靴は一番下で私たちの身体を支えてくれています。灯台下暗しというように、足もとの意識は案外おろそかになりがちです。ご自分の靴、さらにはご家族の靴を、一度チェックしてみてくださいね。
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