「踵は『三層構造』になってるって、ご存知ですか?」
骨格模型を示しながらこう言うと、みなさん、「え、知りませんでした!」と驚かれます。
この『三層構造』を頭に入れて歩くとより良い歩きになりますよ、と今回はそんなお話です。
目次
踵の『三層構造』を見てみよう
さっそく、踵の『三層構造』を見てみましょう。
踵の構造はどうなっているか?
これは右足の踵部分を、うしろから見たところです。
一番下の一階にあるのが、文字どおりの「踵骨(しょうこつ)」。
一番上の三階にあるのが、スネの骨である「脛骨(けいこつ)」。
これしかないと思っている人がほとんどですが、その間の二階に重要な骨があります。
それが「距骨(きょこつ)」です。
これで三層になっています。
ついでに言っておきますと、いわゆる「内くるぶし」は脛骨の下端、「外くるぶし」は腓骨の下端で、別々の骨なんですよ。
内側から見てみよう
今度は、横から見てみましょう。
右足を内側から見たところです。
距骨も踵骨も、けっこう複雑な形をしていますね。
脛骨と距骨でできる関節を「距腿(きょたい)関節」、距骨と踵骨でできる関節を「距骨下(きょこつか)関節」といいます。
ひと口に「足首」といっても、いくつもの骨があり、それぞれに関節があります。
ここでは、上の二つの関節をおさえておいてください。
関節の動きは?
それぞれの関節の動きは、こうなっています。
- 距腿関節:足首の前後の動き(底屈・背屈)
- 距骨下関節:足首の左右の動き(内返し・外返し)
二階・三階(距腿関節)と、一階・二階(距骨下関節)では、それぞれ動き方が違うということですね。
距腿関節を意識しよう
距腿関節と距骨下関節の動きを比べると、圧倒的に距腿関節、つまり「前後の動き」のほうが可動域が大きいです。
それだけ意識もしやすいので、距腿関節を意識してみましょう。
要するに、つま先を手前に上げたり(背屈)、向こうに伸ばしたり(底屈)する「前後の動き」です。
※機能解剖学的には、完全な「前後」ではなく、20°弱ほどやや外側に開いて動くのですが、ここでは大まかに「前後」としています。
重要な問いかけ
さてここで、【今回のポイント】です。
距腿関節は前後に動きますが、歩くときにその動きを意識しているでしょうか?
「意識してるよ!」という人がおられたら、「素晴らしい!」と拍手を送ります・笑
ちょっと、ロッキングチェアを思い出してください。
ロッキングチェアは、前後に“縦揺れ”するのが自然な動きです。
これが左右の方向に“横揺れ”が入ると、故障するのは時間の問題ですね。
「足が着地する→荷重する→足首が動く→足が離れる」
歩行のこの流れの中で、距腿関節が本来の動きのとおり前後に動いているか、それとも横方向の不自然な力がかかっているか、これは大きな問題です。
横方向の力がかかるのは、どんなときでしょうか?
つま先を外に開いて歩くときです。
つま先を外に開いて歩くと、横方向の力がかかります。
すると、足首の歪みや故障が起きるのは時間の問題です。
本来の動き
動画で確認してみましょう。
右足を正面から見たところです。
脛骨の下、「距腿関節」の動きに注目してご覧ください。
つま先が前を向いた歩きです。
距腿関節は、前後に滑らかに動きます。
横方向の力がかかる動き
次に、つま先を外に開いた歩きです。
距腿関節の「キャー、ヘンな動きはやめて~」という悲鳴が聞こえてきそうです。
実際には、ここまでの足首の屈曲はなく、早々に足が地面から離れる人がほとんどです。
寅さんみたいな歩き方です。
親指側の母趾球に荷重することはなく、ストライドの小さいペタペタ歩きになります。
不自然な力がかかり続けることで、足首や、ひいては膝関節も歪んだり故障したりするでしょう。
正しい動きをインプットしよう
故障を防ぐには、単につま先をまっすぐ向けようとするのではなく、関節の正しい動きをイメージすることがたいせつです。
以下の動画をよく見て、正しいイメージをインプットしてください。
※距腿関節の動きをインプットしてもらいたいので、歩きとはいいながら足は地面に着いたままにしています。
(「正面から」の動画は、上のものをご覧ください。)
内側から
後方から
外側から
自分目線
まとめ
いかがでしょうか。
足首の動きのイメージ、なんとなくつかめましたか?
なぜ、今回の記事を書いたかというと、
つま先を外に開いて歩く人がとても多いから
です。
女性でもけっこう見られますし、しかも気づいておられません。
距腿関節を意識して、足首を軽やかにローリングさせるイメージで歩くと、とても気持ち良く歩けます。
ぜひお試しください。
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