開く話

いっとき、「開脚ベター」という言葉が流行った。

股関節を左右に大きく開き、お腹からベターと前屈する“開脚前屈”だ。

これは、だれしも憧れる。

わたしもその一人だが、恥ずかしながらまったくダメだ。

前屈は得意なのに、開脚が苦手なのだ。

こういう人は、意外に多いと思う。

不思議なもので、人はやわらかい体には憧れても、固い体には憧れない。

やわらかいほうが健康により近いと、本能的に察しているのだろうか。

開脚の苦手なわたしのような中年男性に、「いやぁ、見事な固さですね」と言ったら、気分を害するだけだ。

たしかに、開脚ベターができる人は、そうとうやわらかい。

それはそれで結構なことなのだが、無理にそうなろうとする必要もないように思う。

そもそも簡単なことではないし、無理なストレッチをしてケガをするケースも多い。

健康のためというのであれば、

横(左右)の開脚」よりも「縦(前後)の開脚」のほうが大事だ

と私は考えている。

バレエやダンス、その他スポーツでもしていない限り、横の大きな開脚が必要とされる場面は、日常生活においてそうはない。

「日常における動きを衰えさせない」というのが、健康を考える上でのひとつのカギになる。

であるならば、歩くことをはじめ、日常の動きにより関連する「縦の開脚」を衰えさせないことが大切だ。

たとえば、つまずいて転びそうになったときに、パッと脚が前に出るかどうか。

もちろん、股関節の柔軟性だけでなく神経系などさまざまな要素も絡んでくるが、少なくともある程度の「縦の開脚」ができないと難しいだろう。

あるいは、年齢とともに狭くなりがちな“歩幅”はどうか。

スッと後ろに脚が伸びるだろうか。

このような動きは、日常生活にありふれている。

その動きを常日頃からやっておくことだ。

「縦の開脚」の練習としておすすめなのが、「フロントランジ」だ。

脚を大きく前に踏み出し、体を沈め、元に戻る

この一連の動き。

めいっぱい大きく踏み出したり、大きく沈み込む必要はない(写真のように膝90度まで曲げる必要はないということ)。

浅い動きでいいのでバランスを保つことが一番のポイントだ。

やってみてもらうと、スポーツをバリバリにやっている人でも、うまくできないことがある。

左右でバランスが乱れることが多い。

「フロントランジ」は、股関節の柔軟性や脚力強化、そしてバランス力強化にもなるすぐれたエクササイズといえる。

詳しいやり方は下の記事に書いているので、参考にしてみてください。

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