「バネがいい」とはどういうことか?

箱根駅伝は東海大学の総合初優勝で幕を閉じましたね。常連、強豪、のイメージが強かっただけに初優勝ということに驚きました。あと、両角監督がスリムになっておられたのにも驚きました(笑)

さて、ラジオで中継を聴いていた時のことです。ゲストコメンテーターの方が、こんなことを言っていました。

「ストライドの広い、バネのある選手ですね」

解説の方も、「バネがある」「バネがいい」という表現を使っていました。

この言葉、わたしはちょっと引っかかります。

いったい、「バネがいい」とはどういうことなのでしょうか?

バネがいい=強く蹴る?

単純なイメージとしては、「ジャンプ力がある」というのが一番近いでしょう。野生動物のごとく、ピョーン、ピョーンと、力強く地面を蹴るイメージです。「ストライドが広い」とは、まさにそのことを表した言葉です。

じゃあ、「バネ」を使って走るために、地面をしっかり蹴るべきなのか?

おそらく、それは違うでしょう。

先月の中國新聞に、マラソン解説で知られる尾方剛さん(広島経済大学陸上部監督)が子どもたちに走り方を指導した記事が載っていました。そこには、

地面を強く蹴ると、早く走れると思いがちですが、「それは逆効果」と尾方監督。体に無駄な力が入り疲れやすくなるそうです。

(2018年12月16日付中國新聞より)

とありました。

「無駄な力」は「疲労」につながり、ひいては「故障」を引き起こします。地面を強く蹴ると、いかにもバネを使った良い走りのように見えますが、危険です。

「バネを使って(強く蹴って)ストライドを広げる」のではなく、「体幹も含めた体全体をうまく使った結果としてストライドが(自然に)広がる」のが理想です。

したがって、コメンテーターの方にも、

「体をうまく使ってストライドが広がる走りができていますね」

と言って欲しかったと思います。

歩くことでも同じ

これは、いつも書いているように「歩く」ことでも同じです。

「しっかり蹴って歩幅を広げて歩く」のは、体に無駄な力が入る歩き方であり、故障につながります。実は、思ったほどスピードも出ません。

走るのと同様、

「体全体をうまく使った結果として歩幅が広がる」

のが理想です。

スポーツ指導者はご注意を

子どもたちを指導する指導者は、つい「いいバネをしてる」とか「バネのある走り」といった表現をしがちです。

それを聞いた子どもたちは、ほぼ間違いなく「蹴る走り」をするようになるでしょう。ここに落とし穴があります。

バネは体全体から生まれるということを、認識したいものです。

参考記事

  • もりた式ウォーキング・カギは脱力にあり!
  • 末端の役割は「微調整」。お手本はチーター。

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