「脱力ウォーク」は、蹴らない歩き。
この原則は、走るときも同じです。
つまり、
「脱力ラン」は、蹴らない走り、
ですね。身体の末端である膝下の筋肉に頑張らせないことです。
今回は、当院に来られた野球少年の事例をご紹介します。
走るとふくらはぎが痛む
A君は小学5年の野球少年。「走るとふくらはぎにピリッと痛みが出る」ということでした。
試しに盗塁のスタートをやってみてもらうと、あきらかに左足で蹴っています。無理もありません。誰だって、普通はそのようなスタートになります。
スタートだけでなく、「走り」そのものも「蹴る走り」であることが容易に想像できます。
この「力み」が末端の筋肉であるふくらはぎに大きな負荷をかけて、痛みが出ている、と推測しました。
まずは、手技により全身の筋肉と関節をほぐしてバランスを調整します。
その後、「走り」を練習してもらいました。幸い施術スペースはそこそこ広いので、数歩の距離ではありますが、走りの感覚をつかむ練習ができるのです。
「ダッ」とじゃなくて「スッ」
私は、「スタートをダッと蹴るんじゃなくて、スッと滑るようなイメージでしてごらん」とアドバイスしました。
右膝から抜けながら骨盤がスッと滑りだすようなイメージです。
ここでお手本として、イチロー選手のスタートを見てみましょう。
【画像1】は2塁への盗塁、【画像2】は3塁への盗塁の場面です。(いずれもYouTube動画から加工しました)
注目したいのは、スタート直後。画像1では3、画像2では2と3の動きです。
これが、まさにいま言った「右膝から抜けながら骨盤が滑りだすような」スタートです。別の言い方をすれば、「重心移動を利用した」スタートです。
けっして左足で蹴ってはいません。
走るときも「スッ」
このスタートは、はっきり言って、高度な技です(笑)
しかし、大事なのは「蹴らないで走る」意識です。
そこで私は、
「走るのもダッダッじゃなくて、スッスッのイメージだよ」
と伝えました。
A君は、その後数回来院してくれましたが、「痛みがラクになってきた」と喜んでいました。
野球だけでなく、テニス、バスケット、サッカー、体操など、さまざまな競技をする子どもたちが来院されます。
そこで痛感するのは、走り方をきちんと学んでいないことです。
そして、正しい走りは、正しい歩きから、です。
「脱力ウォーク」は、一般の方にとっては理想の歩きという意味でゴールのようなものですが、スポーツをする人にとっては、まさにスタートのようなものなのだと、私は思っています。
※こちらのページもご覧ください→「お子様のお体について」
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