前回の記事(「クツは足のサポーターであると認識しよう」)で、
「クツは足のサポーターだから、しっかりフィッティングさせて履かないと、せっかくの機能が台無しになります」
ということを書いた。
なるほど、クツをきちんと履く大切さはわかった。
では、どんなクツを選べばいいの?
今回は、そういうお話だ。
内容は、2点。
- 紐靴にするべきか?
- 選ぶときのポイント
1.紐靴にするべきか?
結論から言うと、紐靴がおすすめだ。
足にしっかりフィッティングさせて履くには、紐靴が一番である。
バスケットボールの田伏勇太選手は、シューズを履くのに10分もかけるという。

足の故障に泣かされた経験が、そうさせるのだ。
裏返せば、「足のサポーター」としてのクツの重要性を、それだけ痛感しているということだろう。
一般のわれわれがそこまですることはないが、クツを重視するその姿勢は見習いたい。
なお、紐を締めるといっても、最後の結び目だけギュッとやるのは間違いだ。
つま先側からきちんと締めてこそ、しっかりフィットさせることができ、足のサポーターとしてのクツの機能を生かすことができる。
そのような「クツの履き方」については、また後日書いてみたい。
紐を結ぶのが難しい人の場合
紐靴が良いとはいえ、たとえば股関節の変形がある人などでは、紐を結ぶ姿勢をとるのが困難だったりする。
そのような人には、私は次のようにアドバイスしている。
- なんとか結ぶことができるなら、ファスナー付きの紐靴にして、普段はファスナーで脱ぎ履きし、数日に一度は紐を締め直して履きましょう
- 紐を結ぶことが難しいなら、マジックテープタイプのクツにして、マジックテープをしっかり留めて履くようにしましょう
2.選ぶときのポイント
次に、「お店でクツを選ぶときに、どのようなポイントをチェックすべきか」について述べたい。
細かいことをいえばキリがないので、「最低ここだけは確認しましょう」というポイントに絞る。
それを知っておくだけでも、クツ選びの質がグンと上がるはずだ。
そのポイントとは、
- サイズが合っている
- サイドやヒールがしっかりしている
- 靴底が趾(ゆび)のつけ根で曲がる
の3点だ。
1.サイズが合っている
一つ目は、「クツのサイズが合っている」ことだ。
そっからですか!とツッコミたくもなるが、そっからズレている人が実に多いのだ。
つまりは、実際の足の大きさとクツのサイズが合っていない。
いままで靴店などで足の大きさを測ってもらったことがない人や、試し履きをして「これがラク」と買った人は、その可能性大だ。
その場合、実際の足よりも大き過ぎるクツを履いているケースがほとんど。
当然ながら足にフィットさせて履くことは難しくなるし、知らぬ間に足に過度な負担がかかっている。
大きなゴム長靴で歩き回るとてきめんに足が疲れるが、それに近い状態ということだ。
まずは、靴店で、自分の足の大きさをきちんと測ってもらおう。
そっから、だ。
ちなみに私も、フットゲージという器具を使って、患者さんの足をよく測る。
「測ってもらうのは初めて」という人が7~8割。
あなたがまだ足のサイズを測ってもらったことがないならば、今日にでも靴店に出向いて測ってもらおう。
衝撃的な結果が待っているかもしれない(笑)

2.サイドやヒールがしっかりしている
2つ目のポイントとして、「サイドやヒールがしっかりしている」ことが挙げられる。
ここでいう「サイド」とはクツの側面を、「ヒール」とは踵を覆う部分を指す。
そして、「しっかりしている」とは、ある程度の硬さがあることを意味している。
要するに、クツの「側面」や「踵」にある程度の硬さがあるものを選ぶ、ということだ。

大雑把な言い方ではあるが、ある程度の硬さがあるということは、それだけ足の骨格をサポートする機能が入っているということだ。
みなさんのクツを手に取ってみると、“健康靴”として売られていても側面がフニャフニャのものがよくある。
足をサポートする構造物が入っておらず、それだけ“軽量化”するのかもしれないが、だから足に良いとは限らない。
そもそも「やわらかい」「軽い」「幅広ゆったり」といった言葉は、注意を要する。
そのような要素は足にとって良いどころか、悪影響を及ぼしかねないからだ。
私のクツの師匠である、「シューズラボCue」(福山市)の松下店長は、お客様に、
「靴で足を立体的に整えましょう」
とアドバイスするそうだ。
そう、足は26個の骨から成る構造物であり、「立体的に整える」必要がある。
フニャフニャのクツでは、不可能な話だ。
3.靴底が趾のつけ根で曲がる
3つ目は、「靴底が趾(ゆび)のつけ根で曲がる」こと。
フニャフニャが良くないのは、側面や踵だけでなく「靴底」も同じだ。
靴底全体がフニャ~とたわむように曲がるクツがある。
そういうクツに限って「素足感覚」とうたっていたりするのだが、本来、足はそのようには曲がらない。
足は、趾のつけ根である「中足趾節間関節」で曲がる。

したがって、クツもここで曲がるものを選ぼう。
げんこつをクツの踵の下に置き、もう片方の手でクツの中のインソールを上から押してみよう。
趾のつけ根でグッと曲がれば、OKだ。

靴底全体がたわむように曲がるものは、避けよう↓

靴底が趾のつけ根で曲がるかどうかは、「シャンク」と呼ばれる補強物が入っているかどうかによるのだが、それは見ただけではわからない。
ここだけの話、私は最近、この点でひとつ失敗をした。
ネットでかっこいいクツを買ったのだが、届いてみると、“靴底フニャ~”のタイプだったのだ。
あ!と思ったが、やはり歩きにくく、疲れやすかった。
靴底まではネットではわからなかった。
ゆえに、クツをネットショッピングするのは、おすすめできません(反省)。
シューフィッターさんにみてもらおう
今回は、どのようなクツを選べばよいのかについて、かんたんに述べてみた。
とはいえ、クツを見慣れていない人が、「自分に合った良いクツ」を選ぶのはやはり難しいと思われる。
最終的には、信頼できるシューフィッターさんに直接みてもらって選ぶのが良いだろう。
豊富な経験と知識を持ち、「売らんかな」の商売根性がなく、クツを履く人の健康を真に考えてくれるシューフィッターさんに。
ああ、そうすると今度は「どんなシューフィッターさんを選べば良いのか」を書かないといけなくなるな。
では、今回はこのへんで。
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