デスクワークで肘の外側が痛いときは「机の高さ」や「姿勢」を見直そう

事務職のMさん(50代女性)のお悩みは「肘の外側の痛み」

今回は、なぜデスクワークで肘の外側が痛むのかを考えてみます。

いろいろな「肘の外側」

ひと口に「肘の外側」といっても、いろいろあります。

よく知られる「テニス肘」は手首を反らしたときに筋肉がグッと盛り上がるあたりの痛みで、パソコン作業で発症することもあります。筋肉でいうと「手指・手首の伸筋群」の痛みです。(参考→「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」

しかしMさんの場合は、肘の外というか裏側、筋肉でいうと「上腕三頭筋」の痛みです。触診してみると、やはりそこが硬くなっています。

図に示すと、こうなります。

上腕三頭筋のはたらき

「上腕三頭筋」のおもなはたらきは、肘を伸ばすこと(肘関節の伸展)です。

ちなみに裏表の関係にあるのが力こぶの筋肉「上腕二頭筋」で、こちらは肘を曲げるはたらき(肘関節の屈曲)ですね。

では、デスクワークでなぜ肘の外側が痛むのでしょうか?。

たとえば次のようなことが考えられます。

  1. 机の位置が高い
  2. キーボードの位置が遠過ぎるか近過ぎる
  3. 姿勢が前屈みになっている

これらに共通すること、それは無意識のうちに体を支えようとして、机を押さえつける方向で力みが入ること。肘関節の伸展方向の力みで、要するに上腕三頭筋が力んでしまうということになります。

上腕三頭筋に過度な負荷がかかり続けた結果、痛みが出てくると考えられます。

ひとつずつ見ていきましょう。

1.机の位置が高い

机が高いということは、逆に言うとイスが低いということでもありますね。

要するに、キーボードの入力作業をする位置が高いということです。

入力作業の位置が高いほど、肘の角度は鋭角になります。

通常は、肘が90度くらいが適切と言われますが、それより深く曲がってしまう。

すると、無意識に体を支えようとして上腕三頭筋が力んでしまうのです。(力が入る方向としては肘を伸ばす動きになります)

2.キーボードの位置が遠過ぎるか近過ぎる

これもけっこうありがちな状況ですね。

手前に資料などを広げて、その向こうでキーボードをたたく。

あるいは、資料より手もと側にキーボードを置いて入力する。

いずれもけっこう肘に負担がきます。

どちらも無意識に体を安定させようとして、上腕三頭筋が力んでしまいます。

3.姿勢が前屈みになっている

今回自分で試してみて、一番大きな原因かもと思わされたのがこれです。

入力しながら画面を食い入るように見るあまり、つい頭が突っ込んで前傾姿勢になりがちです。

このとき、肘の曲がりは当然深くなってしまいますね。

さらに体重がかかってきますから、それを支えようとして上腕三頭筋に力みが生じます。

いまもしこれを読みながらパソコンに向かっておられるなら、ぜひ試してみてください。

①キーボードに手を置き、顔を画面に近づける

②体を起こし、顔を画面から遠ざける

①のとき、肘の後ろ側が緊張するのを感じたと思います。

腕立て伏せをするときほど頑張っているわけではありませんが、これが一日中続き、来る日も来る日もくり返されたとしたら、上腕三頭筋にはかなり酷な状況と言わざるをえません。

逆に、②の姿勢をとると、肘の角度がゆるみ、上腕三頭筋の緊張も解けます。

Mさんは「膝の上にキーボードを置いて入力するとラク」とおっしゃっていました。肘の角度が上腕三頭筋の疲労にダイレクトに影響している証拠です。

3つの調節

このように、肘の痛みには入力作業時の肘の角度が大きく影響しています。

  • 机の位置が高く(イスの位置が低く)、
  • キーボードの位置が遠過ぎ(もしくは近過ぎ)、
  • 姿勢が前屈みになると、

てきめんに肘に負担ががかかるでしょう。

したがって、調節したいのは、

  • イスの高さ
  • キーボードの位置
  • 姿勢

ということになります。

それらを調節して、上腕三頭筋に力みが入らない適切な肘の角度を見つけましょう。

自分では気づきにくいものですが、毎日くり返す入力作業は、肘にとって大きな負担です。上記の点に注意するだけでも、痛みが変わってくる可能性があります。

Mさんと同じ痛みにお悩みの方は、ぜひ試してみてください。

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