運動会・遠足・修学旅行は学校行事として当たり前のように認識されていますが、もちろんはじめからあったわけではありません。その起源をたどると、おもしろいことに三つの行事には密接な関連があることがわかりました。
今回は、「歩き方」の話は小休止。
ウォーキングについて調べているうちに知った“豆知識”について、シェアしたいと思います。
目次
室星隆吾先生の「ウォーキング教育論」
ウォーキングが健康促進のために推奨されることに、いまは何の違和感も感じませんが、「そもそもいつから言われ始めたのだろう?」と、ふと疑問をもちました。
それをネットで調べるなかで、興味深い論文に出会いました。
室星隆吾(東京学芸大学)「ウォーキング教育論-思想的検討(大正末から昭和初期)-」『体育・スポーツ哲学研究』24-2,2002年
がそれです。
★PDFファイルは、こちらで開けます。
この論文によると、歩行はすでに明治期から学校教育のなかに組み込まれており、大正から昭和初期にかけて「保健的性格」と「軍隊訓練的性格」をあわせ持つかたちで位置づけられていったということです。
学校教育において、また社会教育において、どのように「歩行」が展開されていったかがよくわかる論文です。
これはこれで大変おもしろいのですがそれは置いといて、今回の“豆知識”について。
運動会・遠足・修学旅行の関係
それが、「運動会」「遠足」「修学旅行」の関係です。
論文からこの点に関する記述をまとめると、次のようになります。
- 「運動会」は明治10~20年代頃から全国的に行われるようになった。
- しかし当時は学校の規模が小さかったことや、会場が確保しにくいなどの事情から、近隣の学校が共同で開催する「連合運動会」方式が多かった。
- その会場まで「行軍」で移動することが「遠足」であり、「運動会」「行軍」「遠足」は未分化だった。
- 明治19(1886)年東京師範学校が11泊12日をかけて約260キロを徒歩で移動するという「長途遠足」を行なったのを機に、これが全国的に模倣されるようになり、名称も「行軍旅行」から「修学旅行」に変わっていった。
- 明治21(1888)年、「尋常師範学校設備準則」に教育法令上はじめて「修学旅行」という用語が登場した。
これをさらに要約すると、
- 各学校の連合方式で「運動会」が行われた
- その会場への移動が「遠足」のはじまり
- 何泊もしながらの「遠足」が「修学旅行」につながった
ということになりますね。
これは知りませんでした。
みなさんは、ご存知でしたか?
それにしても、当時の「修学旅行」は激しかったんですね。
室星先生によれば、「歩行」や学校行事についての歴史的研究はあまりされていないようです。
この論文は、このような件に関心のあるひとには、とても価値あるものだと思いました。
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