身体の使い方の基本は、「体幹」を動力源とし、「末端」を微調整役にすることです。これを私はラジオ体操でも意識しておこなっています。すると、体操も伸びやかになります。日常のあらゆる動きのなかで少しずつ意識することで、定着させたいものです。
身体の使い方の基本
ここでもう一度、シリーズ(18)で解説した重要な点を確認しておきましょう。
それは、身体の使い方の基本についてでした。
身体の中央付近の「体幹」の筋肉が動力源、「末端」は微調整役
これは何度強調してもし足りないほど、大切なポイントです。
多くの故障が、「末端」を動力源にしてしまうことから生じます。
無駄な力みが入る、ということです。
「歩き」においても同様で、私がつま先で蹴って歩く、あるいはつま先で地面を押し出して歩くといった歩き方をやめましょう、というのもそのためです。
ラジオ体操で脱力の練習
私は、この基本をラジオ体操をするときにも意識しています。
たとえば、ラジオ体操第1の3番目「腕を回す運動」。
両腕を身体の前で円を描くように回しますが、このとき胸や背中の筋肉を使って回す意識をもちます。
そして、あくまでも手首や手指は脱力してリラックスします。
もちろんもともと胸や背中の筋肉で動かしているにはちがいないのですが、
- 体幹と末端の関係
- 動力源と微調整の関係
- 力が入るべきところと抜けるべきところ
をしっかり意識する、ということです。
するとおもしろいことに、動きがより大きく伸びやかに変わります。
ちなみにラジオ体操第1で手指まで力を入れるのは、8番目の「腕を上下に伸ばす運動」だけで、あとはすべて手首や手指はリラックスして行います。
※足に関しては踵の上下運動が多くあるので、さすがにそこは脱力して行うことはできません。
日常生活でも意識
「体幹」が動力源、「末端」は微調整、これは日常のさまざまな動作においても意識できるといいですね。
自転車の運転でも、意識するとおもしろいですよ。
以前、自転車競技部に所属する男子高校生が、
「自転車をこぐと膝の痛みが出て、棄権せざるを得なくなる」
と来院されました。
彼には、
「お尻や太ももを動力源にして、膝から下はまったく意識しないくらい脱力してこいでごらん」
とアドバイスしました。
のみ込みが良かったのでしょう、なんとその翌日の大会で彼は自己ベストを更新し(学年1位)、膝の痛みもまったく出なかったのです。
さて、日常の動作でもっとも一般的に行うのが「歩く」ことです。
歩きをとおして、身体の使い方の基本を練習すれば、きれいで効率的な歩きになるだけでなく、さまざまな故障の予防につながるのです。
まとめ
- 身体の使い方の基本を意識する
- ラジオ体操は練習しやすい
- 自転車など日常のさまざまな動作でも意識できる
- 故障しにくい身体づくりになる
今度、ぜひラジオ体操をしながら、意識してみてくださいね。
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